7月19日から始まる夏会期に向けて、夏の新作のチェック・検討ツアーで島々を巡りました。
宇野港で夏会期から公開する新規作品、「斜めの構成 1/斜めの構成 2/水平の構成 3」(原口典之)は、圧倒的な存在感がありました。
斜めに2本、床に1本の鉄鋼が区切る空間は圧倒的で、そのフレームから見える産業振興ビルが新鮮に見えるほどでした。
小豆島からおよそ170メートル離れた島である沖之島の、クー・ジュンガ(韓国)の作品「OKINOSANG/元気・覇気・卦気」は、約6,000個のクリスタルガラスが散りばめられ、それが、天気、太陽の位置によって微妙に光る光景は、風景の中に沖之島の美しい佇まいを伝えて圧巻でした。
7か所の光の断片を手懸りに、30~40分くらいかけた沖之島巡りは楽しいものになりそうです。
小豆島 旧醤油会館の、ハンス・オプ・デ・ビークの「静寂の部屋」も、極めてレベルの高い作品で、この3つを巡っただけで一行の期待は否が応にも高まるのでした。
大島。鴻池朋子の「物語るテーブルランナー in 大島青松園」は、入所者の人々の語りを鴻池がデッサンし、それを氏が共働した秋田と珠洲の女性たちが刺しゅうしたもので、ゆっくり見ることをおすすめします。
田島征三さんの『「Nさんの人生・大島七十年」-木製便器の部屋-』はとにかく詩人田島が大絵師であることを否がうえにも伝えてくれる名作でした。
高橋伸行と山川冬樹の作品もしっかりとしたものでした。
瀬戸芸の大島での展開は、この国のハンセン病に関する歴史に、希望の1ページを足すものになっている気がします。
男木島の廃屋を舞台にした、「Trieb-家」(遠藤利克)の5トンの落ちる水もとにかく圧巻でした。
高松港の北浜エリアでは、KOSUGE1-16の庵治石と、ドットアーキテクツと高松工芸高校の工芸品、西堀隆史の丸亀うちわ
は、美しい出来でした。
最後に、百間町の宇川直宏の「DOMMUNE SETOUCHI」は、これが続けば、高松が音楽の大発信地になること間違いなしのプログラムが組まれていて、楽しみです。
この弾丸ツアーだけで、夏のプログラムの充実がよく分かりました。
これだけで充分な芸術祭です。
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朝は、宇野港に数十人の企業のボランティアが清掃に入っていたし、大島では中学生が清掃活動に加わっていました。
たくさんの人たちが島に関わっていることをうれしく思いました。
さて、いよいよ夏会期ですが、巻頭から強力なイベントが続きます。
その中で、特に小豆島の福田で行われる『アジア・アート・プラットフォーム「デジャヴ-生きている遺産」』は、香港、台湾、インドネシア、タイからのパフォーマーが熱演します。
7月21日、ぜひお越しください。
また、7月19日・20日・21日の四国村などでの切腹ピストルズもおすすめ、道を練り歩くだけではない、農村歌舞伎舞台でのワンマンライブ公演で、彼らの新しい魅力にも期待です。
※夏会期のイベントチケットご購入はこちらから。
https://setouchi-artfest.jp/news/new/detail176.html