久しぶりに瀬戸内に戻ってきました。暖かく靄がかかる独特の春の海です。直島の安藤忠雄さんの桜の迷宮の花は咲くかしらん。4/2土曜日にはここで廣田あつ子☓中村恩恵さんのダンス・パフォーマンスがあるので、楽しみです。普段ダンスに縁のない人もいらしてください。ひとつ拓けた世界が見えてきます。滅多にないチャンスです。この土・日曜日には小豆島で秩父前衛派の展開がありますが、僕はまだ聴いたことはないのですが、笹久保伸さんは超絶技法のギターの名手だそうです。どんなイベントになるか楽しみですね。

瀬戸芸はパフォーマンスに力を入れています。美術作品と同じようにパフォーマンスも食も、国際レベルを目指しています。世界的であるとは例えば欧米の人気最高峰に近づくのではなく、それぞれの地域の生活美術の凄さが人類の普遍性として理解されることだと思っているのです。

その意味では平尾成志☓瀬ト内工芸ズ。 / 香川県盆栽生産振興協議会の「feel feel BONSAI」は盆栽のことをほとんど知らない人が感銘して帰って来られるほど素晴らしい。世界的なカリスマ盆栽師の平尾さんが可能な限り女木島に来て説明してくれています。古い家屋、庭の使い方も爽やかな空間です。3日には「BON祭」が開かれます。これも楽しみです。友達とお誘いでいらしてください。一味ちがう盆栽の宇宙が拡がります。

さて僕はこの間、22日夕方、粟島での秋に向けての説明会のあと、東京、市原、高田、奈良、信濃大町と旅烏でした。奈良は「東アジア文化都市」という日本・中国・韓国の国家プロジェクトで、今年は第三回で奈良市・寧波市・済州特別自治道という歴史的な三都市が拠点となって文化交流を行うというもので、政治・経済的には問題と課題は山積みしている三カ国が東アジアあるいは黒潮文化圏とでも言うべき文化を通し、影響しあいながらも強烈な独自性をつくってきた文化からつながっていこうというもので、そのオープニングが東大寺の伽藍のなかで行われました。私はそのプロジェクト全体のアドバイスをしてきたのです。

大仏開眼もかくやかと思わせる荘厳さのなかでの儀式・パフォーマンスでしたが、青柳正規文化長官も出席して行われた記念シンポジウム「移動と文化-黒潮文化圏としての東アジアから未来を展望する」について一言報告しておきます。そこでは海づたわりの洗骨の話、海上生活者の家船(エブネ)の話など、瀬戸内に深く関わる話がでてきました。約半数が遭難する遣唐使の時代、和気清麻呂、空海、最澄など、なぜあれだけの人々が唐・長安を目指したのか?当時の長安の人口は約100万人、今で言えば50カ国を超える人々が異国の文化を識り、それを故郷に帰ろうとしていたわけです。平城の都はその影響のもとにできたわけで、私たちの瀬戸芸も多くの人たちの豊かな多様性が出会う場でありたいと思ったことです。そういえばアジア文化都市2016奈良のキャッチフレーズも「古都奈良からの多様性のアジアへ」でした。