開会前に弾丸ツアーで作品を巡っています。

沙弥島の旧小中学校は面白い。


ロシアのレオニード・チシコフは3部屋を使って趣の異なった、しかし「月と塩」という共通テーマの作品を発表している。北極の雪原を思わせる水を張った盤上の奥にオーロラのような映像が美しく動いている。地球と宇宙の孤独なほどの静けさ。幼児期の記憶の風景。柿本人麻呂の「天の海に 雲の波たち 月の船 星の林に 漕ぎ隠る見ゆ」の鋼版状の銀灰色に冷たく光る海。詩情溢れる世界だ。


南条嘉毅の作品は廊下を歩きながら教室を覗いていくという仕組みで、生まれ育った坂出の塩との時間を親、祖先と巡りながら見ていくという仕掛けは、深く土地に分け入らねば出来ないもので、光と音の使い方は相変わらず、深く叙情的だ。最後の作品で表に回ってみると驚く仕掛けがある。行ってのお楽しみだ。塩と水の美しい親和性。


アナヒタ・ラズミはイラン出身、ドイツ在住の女性作家だ。30年前、イランから日本に働きに来た人が多かったが規制がかかって、人はいなくなってしまった。そのまま在留したらイラン+日本の楽しい料理が出来た筈だという食の実験室が旧理科室で行われる。どう運営するか興味があります。


校庭にはオーストラリアの2人のユニットの多言語対応シーソー。不思議な会話が楽しめます。


あとは海辺にYottaというこれも2人組のユニットによる「家船」プロジェクト。昔は船のなかで人々は生活していたし、やがてはその大工技術が街の小さなお家になった歴史を彷彿させてくれます。


さっと回っただけでも面白かった。
皆さん、今年の瀬戸芸は頑張っていますよ。


※沙弥島の作品情報はこちらから。
https://setouchi-artfest.jp/artworks-artists/artworks/shamijima/