Directors Blog #5
作品巡遊(四国村)
<四国村ミウゼアム>のリニューアルオープンに行ってきました。新しい建築は竜骨がくねったような切妻の大屋根が見事で<おやねさん>と呼ばれていますが、この建物の下にある有名なうどんや「さいごうどん 本家わら家」もこれに合わせて向きを変え、間の石垣と駐車スペースを取っ払って<おやねさん>と向かい合わせになりました。
四国村ミウゼアムの加藤秀樹理事長が挨拶で述べられていたように、このミューゼアムは3つの特徴を持っています。第一に、国の重要文化財に指定されている古民家など33棟の建造物や約1万点におよぶ民具を集めている日本有数のリアル(本物)のミューゼアムであること。江戸時代から大正時代に建てられた住宅や作業小屋、芝居小屋、醤油醸造所などを四国各地から移設した屋外型展示施設です。
第2に屋島山麓にあって樹木などの環境が素晴らしいこと、第3に集まった住居や生活道具を含めた物語があることです。物語になるためには、例えば2万年以上前から岡山方面から四国にサヌカイトを求めて(水没後に今の与島五島になった)丘陵地帯に人々が移動したという叙事詩は、まさに人間の苦労と艱難の生活があったということなのでしょう。その第2、第3のアメニティ、物語として発現していきたいとの話でした。その後の大西高松市長の話を受けて加藤英輔副理事長のお話は、そのため建築設計を川添善行さんに頼んだこと、建設途中の高松市の山頂交流拠点施設とつなげて日本で最初の国立公園であった瀬戸内海国立公園の中心である屋島をアピールしたいと瀬戸芸に参加したことなど腹にストーンと落ちるものでした。今回の瀬戸芸では島を本土の特色あるものとつなげることも心がけていますが、その好例になると思います。
<高松港 食のテラス>でお弁当を買って食べました。2種類。とても美味しかった、お薦めです。瀬戸芸はいよいよ始まりました。オープン前の私の一人旅はここで小休止です。
2022年4月16日
瀬戸内国際芸術祭総合ディレクター 北川フラム