小豆島の中央に位置する中山地区は、標高差100メートルの高低差を生かした棚田が広がる美しい場所です。
この「中山千枚田」は700年前から作られたと言われ、急な斜面に大小約800枚の田んぼが重なるよう広がっています。
「半夏生」は夏至から数えて11日目のこと。
この半夏生の時期に合わせて、中山では約300年前から「虫送り」という行事が続いています。
火手(ほて)と呼ばれる松明を手に持ち、田にかざしながら棚田の道を下っていきます。
害虫を退治して豊作を願って行われる伝統行事です。
7月2日(土)の夕暮れ、湯船山の中腹に向けて多くの人が登っていきます。
湯船の水まで登っていくと、遠く豊島を望むことができます。
3年ぶりの虫送りを楽しみにしている人々は多く、神事が始まる前から賑わっていました。
開会の挨拶では、虫送りに瀬戸内国際芸術祭のアーティストたちも参加していることが紹介され、歓迎の拍手が起こりました。
神事を終え、薄暗くなってくるといよいよ火手に火が灯されます。
「灯(と―も)せ、灯(と―も)せ」という独特の声を上げながら、急な坂道をくだっていきます。
ゆらめく炎が連なり幻想的な風景が広がっていました。