SDGsの取り組み
瀬戸内国際芸術祭における
SDGsの取り組みについて
瀬戸内国際芸術祭は、2010年から過去5回開催され、今回6回目の開催となります。
(春会期:4/18(金)~5/25(日)、夏会期:8/1(金)~8/31(日)、秋会期:10/3(金)~11/9(日))
今回の瀬戸内国際芸術祭の重点的な取り組みの一つとして、「持続可能な社会の実現に向けた取り組みの推進」を行うこととしています。
ここでは、持続可能な開発目標『SDGs:Sustainable Development Goals』の観点から、瀬戸内国際芸術祭の取り組みをご紹介します。
瀬戸内国際芸術祭の「理念」
瀬戸内国際芸術祭は、『海の復権』をテーマに、近代化の中で、ともすれば忘れられてきた島を舞台に、現代アートの力を借りて、島のお年寄りの笑顔を願い、瀬戸内海が地球上の全ての地域の『希望の海』となることを目指す、壮大な地域再生の取り組みです。
各島での取り組み
豊島の再生
産業廃棄物が不法に投棄された“豊島問題”を歴史に持ち、食に関する風評被害もあった豊島において、肥沃な土地と地形を持った島の特性を活かし、「食」と「アート」を掛け合わせることによって、「自給自足」、「地産地消」の新しい地域社会のあり方を発信することを目指しています。2010年に制作された「島キッチン」では、地場の野菜、果物、魚を地元のお母さんたちから教わった料理法で提供されていて、今では大勢の人でにぎわう人気スポットとなっています。
男木島での芸術祭の効果
男木島では、瀬戸内国際芸術祭がきっかけとなり、移住者が増加したことで、休校していた小中学校や保育所が再開するなど、地域再生の動きがみられるようになりました。人口約150人の男木島への2014年以降の移住者は60人を超えており、移住希望者が絶えない島となっています。
大島での取り組み
島全体がハンセン病回復者の療養施設である「国立療養所大島青松園」。入所者の日常生活の介助・療養生活の支援と、ハンセン病を正しく理解するための活動が行われています。大島が開かれた島として希望を実現するために、長期的な視点のもとアートが深く関わっています。芸術祭2019の際に「高松-大島」航路が一般定期航路化される等、大島の実態を伝え、開かれた場所づくりが進められており、芸術祭2025においても取り組みが継続されます。
犬島での取り組み
ベネッセアートサイト直島の展開するアートプロジェクトである犬島精錬所美術館は、近代化産業遺産である銅製錬所の遺構を保存・再生した美術館です。循環型社会をテーマに、自然エネルギーや島の地形、製錬所の副産物であるカラミ煉瓦と煙突、犬島石や鉄などの犬島に由来する素材を利用し、周囲の環境にできるだけ負荷を与えない施設となっています。また、長く使われていなかった土地を、犬島の風土や文化に根ざした植物園として再生した「犬島くらしの植物園」では、自然の巡りや植物の力など、暮らしに活かす術を島の方々に教えてもらいながら、多様なプログラムを通じて「植物にできることのすべて」が体感できます。
粟島での取り組み
芸術祭2019の粟島(三豊市)では、科学探査船タラ号で、世界中の海洋調査を行い気候変動と環境破壊が海洋にもたらす影響を研究しているTara Ocean 財団(一般社団法人TARA JAPAN)が、活動紹介を展示しました。芸術祭2022においても、粟島で同様の展開をしました。
瀬戸内国際芸術祭の活動
「空き家」、
「廃材等」の活用
過去5回の芸術祭の開催の中で、作品制作など、さまざまな形で空き家が活用されてきました。また、芸術祭の作品の中には、廃材やゴミ、漂流物等を素材とする作品も多く存在します。アーティストが関わることで、空き家や廃材が新たな価値を持つものになります。
次世代への継承
次世代を担う子ども達に芸術祭を体験してもらい、自分たちの将来を考えてもらうとともに、郷土への理解と愛着を深めてもらうために、子ども達を主役としたイベントを実施しています。また、“学校連携事業”として、香川県教育委員会や地元の高等学校等と連携し、会場となっている島々の独自性や国外からの来場者が多い芸術祭ならではの特性などを生かしたさまざまな課外活動等を展開しています。
企業との関わり
瀬戸内国際芸術祭の趣旨に賛同していただき、自社のメセナやCSR活動に位置付けるなど、多くの企業・団体に瀬戸内国際芸術祭に社会貢献活動の一環として支援していただいています。企業・団体が持続的な成長と文化活動をどのようにつなげるかについて考える機会となることを目指し、これらの協賛企業を対象に「SETOUCHI 企業フォーラム」を開催しています。2019年に続き、2022年の芸術祭においても、より多くの企業と連携し、「企業のサスティナブルな発展」をテーマにディスカッションを行いました。また、企業・団体から、ボランティアサポーターを募集し、作品受付や来場者への案内などの運営面でも、瀬戸内国際芸術祭を支えていただいています。
(2022年実績:52社/団体 1,575人)
各企業のSDGs取り組み紹介
瀬戸内国際芸術祭2022の会期中には、総合案内所がある高松港旅客ターミナルビル内にPRブースを設置し、
パートナー企業等の協賛企業各社のCSR・SDGsに関する取り組みを紹介しました。
環境に配慮した
素材の利用
芸術祭2022 では、高松港において弁当の販売を実現しました。その際にプラスティック製品の取り扱いを極力減らし、環境に配慮した素材を利用。また、瀬戸内国際芸術祭2022 公式グッズとして、ジーンズ等の製造過程で不要となった布を活用して製造したバッグや、環境に配慮した素材として「バナナペーパー」を用いたホルダーを開発し、高松港と宮浦港に設置する芸術祭の公式ショップや公式オンラインショップで販売しました。その他、ビニール製のレジ袋を廃止し、紙袋に切り替えるなど、環境に配慮した取り組みを行いました。
バナナペーパー
「バナナペーパー」とは、人と環境に優しい一歩進んだフェアトレード認証紙で、アフリカのザンビアで生産されたオーガニックバナナの茎の繊維に、古紙または森林認証パルプを加えて作られたエシカルな紙です。自然環境を強く意識すべき「瀬戸内国際芸術祭」において、フェアトレード紙の活用により、国際的な観点、一歩進んだ環境への取組姿勢をメッセージとして発信しました。
ごみの持ち帰りのPR
芸術祭の会場となる島の一部では、ごみ処理ができないこと、また島への負担を減らす観点から、来場者にごみの持ち帰りをPRするとともに、高松港等にエコステーションを設置し、島から持ち帰ったごみを捨てる場所を設けます。
「しましまゴミゼロプロジェクト」について
芸術祭2022では、「しましまゴミゼロプロジェクト」と題して、ボランティアによるクリーンアップ、高松港での無料給水スポットの設置・利用呼びかけに取り組みました。ボランティアの皆さんは、朝、高松港を出発して島に渡り、港や作品周辺などのごみを拾い、夕方、高松港にごみを持って帰りました。芸術祭の来場者にもゴミの持ち帰りを呼びかけ、島のごみ問題を楽しく啓発。夏会期には、高松港食のテラスの一角に給水スポットを設置し、自由に水を汲んでもらえるよう、マイボトルの携帯を呼びかけました。
瀬戸内国際芸術祭の運営体制
瀬戸内国際芸術祭を支えてくださるボランティアサポーター
瀬戸内国際芸術祭は、島の方々や“こえび隊”をはじめとするボランティアサポーター等、多くの人々に支えられて成り立っています。さまざまな国・地域・立場から多くの人が集まり、『海の復権』という大きなテーマに向かって一丸となり、芸術祭を成功させ、会場となる島々を盛り上げていくことを目指しています。
持続可能な開発目標
(SDGs:Sustainable Development Goals)とは
2015年9月の国連サミットで加盟国の全会一致で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。17のゴール・169のターゲットから構成され、地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。