ISLAND INDEX

  •  
  •  

リン・シュンロン(林舜龍) りん・しゅんろん

作品No. sd36

国境を越えて・波

2016年秋、冷たい風の中に、196体の世界の子供は、瀬戸内海小豆島北部の大部港の砂浜で溶けてなくなり、海潮と共に世界へ流されていって、自分の故郷に帰っていった。
2019年春、爽やかな風の中に、1体の世界の子供の銅像が海の祝福を背負って、あの穏やかな海の水平線から歩いて帰ってきた。彼は潮間帯のある岩に立ち止まって、三年前に自分が生まれた海辺をじっと見つめる。カキや貝類まみれの体を煌めかせ、瞳を閉じて考え込んでいる。その様子が、潮の満ち引きにより、現れたり飲み込まれたりする。
堤防の内側の広場に、数千本の竹を使って、丸くてふわふわとした海洋生物を築いていく。積み重ねたその放射状の造形は、ウニにも、イソギンチャクにも似ている。その生き物は広場でうつ伏せになって、数千本の触手が風に揺られ、空と海の方に伸ばしていく様子は、世界の子供を招いてるよう。また、ゆっくり蠢くその巨大な体も、うねうね波打っているように見える。
海洋生物の尾部から長い竹の歩道を登り、二本の木の間を通りぬければ、眩しい放射状の渡り廊下に入れる。奥に入れば入るほど道がどんどん狭くなるが、海洋生物のお腹の方に訪れると、ゴシック式教会のような、天井が高く持ち上げられた神聖なる空間がある。太陽の光が竹の隙間から差し込み、暖かい海風も竹と竹の間を通りぬければ涼しい風に入れ替わる。風に揺られる竹が擦り合って、何かを囁いているかのような音を出している。
一本一本の細長い竹で、この空間に柔らかそうな壁を編み上げる。この空間は母親のお腹の子宮を思わせる。上から太い麻のロープをぶら下げて、ブランコを作って子供たちに遊ばせる。すっかり生まれ育った場所に戻った気分で、自由自在に宇宙という海で旅をする。
真っ正面の狭いドアを突き抜けると、海の方に繋がる竹の台にたどり着く。 放射状になっている竹に囲まれながら、海に立ち止っている世界の子供と対面する。台の下から何かが鳴り響いているが、その音を追って両サイドの竹の階段を下ったところで、台湾の学生たちの手作り竹風鈴がいっぱい吊らされている空間がある。竹風鈴は風に揺られて鳴いている。ここは砂浜への入り口でもある。
夜中になると、海洋生物「波」のお腹から暖かい光を放って、竹の隙間を通り抜けて竹の先端に届く。「波」は金色の卵に切り替わって、明るかったり暗かったり、呼吸みたいな光の暈の中で、新しい命を育み、海の向こう側の、世界の子供の生まれ変わりを迎える。
「波」は海の表情だけではなく、海からのメッセージでもあり。一つ一つの波が、遠方や近辺、遥か昔や未来の諭しを届けてくる!

作品情報

作品情報 小豆島・大部
開館時間 9:30-17:00
休 業 日
料  金 300円
備  考 助成:中華民国文化部 協力:台北駐日経済文化代表処、新北市淡水小学校"

同エリア内の作品

土庄港

迷路のまち周辺

四海

肥土山/中山

三都半島

醤の郷周辺/草壁港

坂手港/田浦半島

福田

大部

北浦