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悪童日記

「文体の舞台化」 作者にとっての外国語、フランス語で書かれた「悪童日記」の文体には、ぎこちなさと簡潔さが奇妙に共存し、感情表現が排されている。この小説の読者は事後的な行動を通して登場人物の感情を知る。本作では、こうした文体の面白さの舞台化を目指した。 「身体と発語」 原作では、感情を棄てて事実のみを簡素に描こうとする双子の言葉が、かえって彼らの内部に混沌とした感情を滾らせていく。言語の意味や物語ではなく、言葉の生み出す感覚やそれが形作る世界を表現すべく、俳優の安定した発語で勘所を押さえつつ、ダンサーの虚ろな声と雄弁な身体を駆使することで舞台空間を造形する。 「作者の抽出」 戦時中の亡命者「作者アゴタ・クリストフの孤独」を掬い取るため、初演時には双方男性であった主人公の双子の一方に女性を配することで、作品をより深く多角的なものとする。 (あらすじ) 戦争が激しくなる中、祖母の家に疎開した双子。しかし祖母は二人を労働者として酷使する。双子はこの悪夢を生き抜く為に、自らの精神と身体を鍛え始める。戦況は厳しくなるが、双子は靴屋・将校・神父など様々な人間に助けられ、時には利用し合って生き延びていく。そして戦争が終わり、父が訪ねてきた。その時、二人がとった行動とは。 原作    アゴタ・クリストフ 翻訳    堀茂樹 構成・演出 山口茜 キャスト  高杉征司 大柴拓磨 芦谷康介 達矢 佐々木ヤス子


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