Neon Danceによる「身体と物体を超えて」は、生物にインスパイアされたロボット工学を用いて、社会的なつながりとコラボレーションを探求しています。この作品は、「孤独」の起源を解明しようと設計されており、孤独は精神的なものだけでなく、身体的、感覚的、物質的なものであるという考えから、それは個人と社会的領域の相互作用から生じるものであることを探求しました。
エイドリアン・ハート(ネオン・ダンス)は、「大地の芸術祭2018」と「瀬戸内国際芸術祭2019」にて作品を発表しました。日本の過疎地域で協働したこの経験から、彼女は、ハイパーコネクティビティ=超接続性(人と人のコミュニケーションだけに留まらず、人と機械、機械と機械がネットワーク接続し、様々な情報がリアルタイムにやり取りされる世界)を持つ現代において、なぜ「孤独」の問題がこれほどまでに蔓延しているのかを考えるようになったのです。
「Beyond Body and Things-身体と物体を超えて」は、参加者をインスタレーションの中に招き入れ、ロボットの生き物や仮想パフォーマーと対話しながら、砂の中に自分の足跡を残していきます。この作品は、「architectural body-建築する身体」(荒川修作+マドリン・ギンズ)という概念を、「孤独を癒すもの」として育成する試みであります。もし人生が、人だけではなく物や環境とも関係する、絶え間ないつながりの流れであるならば、孤独を感じる余地はほとんどないのかもしれません。
「Beyond Body and Things-身体と物体を超えて」は、2021年から22年にかけて開発された共同作品で、その間、ネオンダンスはBristol Robotics Lab(ブリストル・ロボット工学研究所)と一連の「共創」ワークショップを行い、一般の人々をロボット制作のプロセスに招待し、共有体験を持ちました。「Beyond Body and Things-身体と物体を超えて」に登場するのは、「亀」をモチーフにした、足を持つロボットです。また、公演時間に合わせ、海外のとある場所にいるダンサーがオンラインで中継され、会場の壁に映し出されます。ロボットは遠隔地にいるダンサーの動きに反応し独自の動きをしたり、会場にいる観客がロボットの隣に膝をつき、手をかざすと、ロボットはその動きに合わせて反応します。公演終了後はロボットと人間の身体が織り成し完成させる砂絵をお楽しみください。
コンセプト / ディレクション:エイドリアン・ハート
振付:エイドリアン・ハート、 高瀬譜希子
ロボットデザイン・コンセプト:ブリストルロボット工学研究所 (ヘマ・フィラモア、アリックス・パートリッジ、カラム・ゲラスピー)
ダンスアーティスト:高瀬譜希子
音楽:セバスチャン・レイノルズ
衣裳:坂部三樹郎 (MIKIO SAKABE)
協賛:Arts Council England National Lottery Project Grants, Brigstow Institute, 英国笹川財団 & EPSRC Impact Acceleration Fund.
協力:Swindon Dance, University of Bristol, The Place, Wellcome Collection, Bristol Beacon, Dance4, South East Dance, Reversible Destiny Foundation(リバーシブル・デスティニー財団) & 荒川修作+マドリン・ギンズ東京事務所