これまでの歩み

2022.05.02 瀬戸内断簡⑦

Directors Blog #7


 《越後妻有 大地の芸術祭2022》の開幕で瀬戸芸に永らく行けませんでしたが、ようやくこの7日に女木島名画座上映会(E07)に行きます。上映は樹木希林の最後の出演となったドイツ映画、ドーリス・デリエ監督の《命みじかし、恋せよ乙女》。女木島で人気の高い名店街の見学もあります。翌週は待望の小豆島の肥土山農村歌舞伎で木ノ下歌舞伎《竜宮鱗屑譚(せとうちうろくずものがたり)~GYOTS~》の観劇です。

 2010年に瀬戸芸が始まった時、演劇の世界に疎い私は高松で劇団を率いて活躍していた大垣里花氏に「期待できる面白い芝居にはどんなのがあるか?」と聞き、氏が挙げる劇団の殆どを瀬戸芸・大地の芸術祭で上演してきましたが、はずれはまずなかった。それだけではない、十年前の新進が今や皆、超人気なのです。そのなかで日程が合わないなどで出来なかったのが唯一《木ノ下歌舞伎》だったのです。こういう巡り合わせがあるのですね。今回は第4回展終了時からお願いしての実現です。惹句に謂う「瀬戸内の歴史や伝承、芸能などを取材したオリジナル作品。海に棲む魚が過去を語り出す時、水底に眠っている『もうひとつの世界』への扉が開く。浪曲師にダンサー、俳優、日本舞踏家が肥土山農村歌舞伎舞台で異色の競演」。演出・出演の白神ももこ(大地の芸術祭でモモンガコンプレックスの上演)と美術のカミイケタクヤ(沙弥島の南条嘉毅《幻海をのぞく》の造形担当)の実力は知っている。だが未だ見ていない作品を推奨するのは初めてです。さあ、お立ち合い、お立ち合い、ご覧になって面白くなかったら責任は総合ディレクターの北川フラムにあります。ツアーもありますよ。皆さん、この機会を逃さず肥土山の重要有形民族文化材の農村歌舞伎場に一夜の夢を見に来てください。


▶芸術祭公式イベント参加ツアー
E-9 竜宮鱗屑譚(せとうちうろくずものがたり)~GYOTS~
5/15 (日) 土庄港(16:40集合)・・土庄港周辺(ガイド)=木ノ下歌舞伎(イベント参加)=創作郷土料理 暦(夕食)=土庄港~<チャーター船>~高松港(22:05着/解散)
料金:15,800円

スペシャルツアーのお申し込みはこちらから
https://setouchi-artfest.kotobus.com/tour/ktg015.html

Photo:Shintaro Miyawaki


2022年5月2日
瀬戸内国際芸術祭総合ディレクター 北川フラム

前のページ
一覧表示
次のページ