これまでの歩み

2013.04.19 想いは海へ。フィナーレを飾るすばらしいパフォーマンス

春会期も今日をいれてあと3日。低気圧の日が何日もありながら、お客様も大勢来られて、うれしい。

朝7時、島に散開するこえびの諸兄、諸姉との「エイ・エイ・オー」ミーティングを終えて、豊島の家浦近くの砂浜に向かった。南果歩さんと小野寺修二さん(カンパニーデラシネラ)の公演「人魚姫」の初回を見るためだ。

浜辺には白と銀の吹き流しの旗を巻いたオブジェ等がある。テーブルの周りに4人の男女が何やら話している。喧嘩をしたり、笑ったり徐々にペースがあがり、人々のざわめき。上手の突堤を見れば、青衣を纏(まと)った女性が歩いている、と、鈴が鳴り、重なる島々の向こうに遠く岡山の街を見透かす春のおおらかな海を舞台に、幕が開く―。

構成が見事で、6人の出演者の動きも軽快で美しい。ダンサーがならす大鼓も抑制が効いているし、音楽の選択も適切だ。マイクの受け渡しにも工夫があり、小道具もちゃんと役割をもっている。―寒風のなかの半刻ではあったが、よかった。終幕、演者たちが海にはいっていく。ゆっくりとゆたかに、おっとりとした瀬戸内の海が広がるなかで、私はヴィスコンティの「ヴェニスに死す」を想う。ヴェニスの海に抜けていく、あの豊潤な文化の地で続いてきたビエンナーレに比して、瀬戸内はもっとたっぷりしたおおらかな祭を用意できる。そんな気が、突然した。あれは、海のなか、しかも閉ざされた海でのことだ。私たちには開かれた海がある。海を渡り、島がつながり、そこの人々が関わる光景を見れるかも知れない。そんな風に思えた芝居だった。この公演は、明日の男木島、明後日の女木島と続いて、春は終わり。春の瀬戸内に来てください。

皆さん、残り2日ですが、3シーズンパスポートを購入し、瀬戸内を楽しんでください。まさに、海は驚き!海は憧れ!海神の笛に誘われ、私の気持ちは少し浮遊しています

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