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2018.07.20 【島の写真館】イリコ漁で活気あふれる伊吹島の夏

せとうちのしおり♯7




観音寺港から定期船でおよそ25分、燧灘(ひうちなだ)のほぼ中央に位置する伊吹島は、瀬戸内国際芸術祭の会場の中でも、一番西にある島です。

いつもは静かな伊吹島ですが、島の産業であるイリコ漁が今年は6月13日に解禁となり、最盛期を迎える6月〜9月の間はとてもにぎやかになります。


イリコとはカタクチイワシをゆでて乾燥させたもので、一般的には煮干しとも言われます。
香川県では、お味噌汁などの料理に使う出汁はイリコ出汁が主流。
もちろん讃岐うどんの出汁にも欠かせません。
讃岐うどんは、伊吹島ときってもきれない関係なのです。


イリコ漁がさかんな瀬戸内海でも、特に伊吹島のイリコはその味に定評があります。
そんなイリコ漁の現場に向かいました。




漁の始まりはとても早く、夜明けとともに次々と船が沖へと出ていきます。

この時期、湖のように凪いだ海には、たくさんの漁船が点在しています。


イリコ漁は2隻の漁船で袋状になった網を曳く「パッチ網漁」と言われる漁法で魚をとります。
伊吹島では、群れを探知する船、パッチ網を引く本船2隻、漁獲したカタクチイワシを加工場に運搬する高速船の計4隻で漁を行います。


沖へ出てしばらくすると、群れを見つけた漁船が大急ぎでその場に向かい、パッチ網を下ろします。
そして、2隻が横並びになって、大きなパッチ網を一気に引き上げます。
大量のカタクチイワシをとらえたパッチ網はとても重く、船員みんなで魚を傷めないよう気をつけながら引き上げています。

そうして揚がったカタクチイワシは、後ろで待機していた運搬船の魚倉(ぎょそう:いけすのようなもの)に流し込まれていきます。




ここからが、おいしいイリコづくりの始まりです。


カタクチイワシを受けとった運搬船は伊吹島をめざし、加工場へと急ぎます。

島のまわりをぐるりと囲むように並ぶ建物がイリコの加工場で、現在、網元(あみもと)と呼ばれる15軒の加工業者が伊吹島でイリコを生産しています。


運搬船が船着き場に到着すると、魚倉の中のカタクチイワシは太いホースで一気に吸い上げられ、目の前の加工場へ直行。

加工場ではベルトコンベアが待ち構えており、次々とやってくるイリコをキャッチし、洗浄して、熱湯でゆでていきます。


ゆで上がると、すぐに乾燥機の中へ。
10〜20時間乾燥させるとイリコができあがります。
網を上げてから乾燥機に入るまで、あっと言う間に過ぎてしまいました。




実はこの一連の作業がおいしいイリコづくりのポイント。

伊吹島は漁場と加工場が近く、網元が漁獲から加工まで一貫して行うことで新鮮なうちにうまみをギュッと閉じ込めることができるのです。


伊吹島のイリコは、「伊吹いりこ」ブランドとして全国に出荷されます。

「伊吹いりこ」については伊吹漁業協同組合のウェブサイトで紹介しています。




夜明けとともに始まったイリコ漁は、夕暮れまでかかり、漁獲から加工までを繰り返します。

そしてそれが休むことなく9月まで続きます。

漁や加工場の仕事を手伝うために観音寺市などから通う人も多く、この時期は島が一番にぎわう時期です。


島の人に教えてもらったおいしいイリコの選び方は、お腹の部分が黄ばんでおらず銀色の皮がしっかりついていること。


漁獲してから時間が経ったものは黄ばんでしまい、銀色の皮がはげているものは漁獲から加工の過程で傷めてしまったものだそうです。
見た目がきれいで銀色に輝いているものを選びましょう。


また、大きさによって食べ方が違います。

大きいものから順に、大羽(おおば)、中羽(ちゅうば)、小羽(こば)、カエリがあります。

島の人は、大羽を手で割って内蔵を取りのぞいて、おやつや酒のつまみとして食べているそうです。

カエリは小さいため、サラダにかけたりキュウリの酢の物や佃煮といった料理に使うことが多いそうです。




また、この時期に伊吹島の食卓に並ぶのが、加工場でゆでたカタクチイワシ。

「釜揚げいりこ」と呼ばれており、やわらかくて味が濃く、おいしいのです。


イワシは鮮度が落ちるのが早いため、釜揚げいりこは市場に出まわることはありませんが、できたてが手に入る伊吹島の人たちは日常的に味わえるのだからうやましいかぎり。


伊吹島は、瀬戸内国際芸術祭2013から秋会期となっていて、次回2019年の芸術祭にも、秋会期に参加します。
「イリコ庵」(みかんぐみ+明治大学学生)は、建築素材にイリコ加工用のせいろが使われた作品です。


この夏は、イリコ漁で活気あふれる伊吹島へ!


観音寺市公式YouTubeチャンネルでは、イリコ漁の様子を動画でご紹介しています。ぜひご覧ください。


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