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2018.06.22 【島の写真館】初夏の小豆島で出会う、地上の星空


せとうちのしおり #3




Photo:樹齢千年のオリーヴ大樹


オリーブの花を知っていますか。
白くて小さい、かわいい花。
香川県の県花・県木にもなっています。


オリーブの島として知られる小豆島では、毎年5月下旬から6月上旬にかけて、島内のオリーブの木がいっせいに花を咲かせます。


日本で初めてオリーブの経済栽培に成功した小豆島。
オリーブの花が咲く、2週間の間に見ることができる、オリーブの島ならではの風景をご紹介します。





Photo:Yasushi Ichikawa


小豆島はなぜオリーブの島と呼ばれているのでしょう。
それは今から100年以上前の1908年(明治41年)。
日本ではじめてのオリーブの試験栽培が、三重・鹿児島・香川(小豆島)の3県で行われたことにはじまります。
その時、香川県の小豆島に植えられたオリーブの苗木だけが順調に育ち、大正のはじめには採油ができるまでに実をつけるようになりました。


地中海地方が主な産地のオリーブ。
地中海地方に似た温暖で日照時間が長い香川県の気候が、オリーブ栽培に適していたのでしょうか。
ちなみに日本にはじめてオリーブオイルが伝わったのは、安土・桃山時代。キリスト教伝道のため来日した宣教師が携えてきたものだそうです。


小豆島の玄関口のひとつ土庄港には、オリーブの葉を王冠の形に仕立てた作品「太陽の贈り物」(チェ・ジョンファ)があります。
王冠の中から海を眺めたり、行き交う船を王冠ごしに撮影したり。
オリーブの葉一枚一枚には島の子どもたちの海へのメッセージが刻まれています。





Photo:樹齢千年のオリーブ大樹


同じように見える小豆島のオリーブの木ですが、じつはさまざまな品種が育てられています。
1908年に日本では小豆島ではじめて栽培に成功した品種のひとつで、葉の裏が銀色の「ミッション」。
「マンザニロ」はリンゴのような丸い実がなります。
幅広の葉っぱがかわいい「ルッカ」や葉の裏側が緑色の「ネバディロブランコ」など、その他さまざまなオリーブが島内の公園や農園で育てられています。


オリーブの品種ごとに葉の形や色、実の形が少しずつ違うので、見比べてみるのも楽しそうです。
オリーブの品種は世界では1,600種類以上あると言われています。
小さなオリーブの花が咲きはじめると、オリーブの木はその印象を少し変えます。

ふだんは緑色に見えるオリーブの木が、ふんわり白いベールをまとったように見えるのです。
遠くからオリーブの木全体をながめると見える、この季節ならではのオリーブの姿です。





Photo:樹齢千年のオリーブ大樹


オリーブの花は、直径約3ミリほど。
とても小さいので、木のそばまで寄らないと、花のひとつ一つを見ることができません。


だから、ぜひそばに寄ってみてください。
オリーブの花が白くて小さくて、よく見るとお星様のような形をした可憐な花であることがわかります。


オリーブの花言葉のひとつに「平和」がありますが、これは旧約聖書の「ノアの方舟」の伝説からきているのだとか。
方舟から放たれた鳩がオリーブの小枝をくわえて帰ってきたことから、洪水が収まったことを知ったという話。
この伝説にちなみオリーブは平和の象徴とされています。


花を見るためにオリーブのそばに寄ったら、ぜひ探して欲しいのが「ハートのオリーブ」です。
細長い形をしているオリーブの葉に、ハート型をしたオリーブの葉がまじっていることがあるんです。
島内では、「見つけると幸せになれる」と言われています。





Photo:樹齢千年のオリーヴ大樹


毎年5月下旬から6月上旬にかけて、オリーブの白い花で包まれる小豆島。
ふわっと白いベールをまとったように見えるその姿に誘われて木に近づくと、足元に広がっていたのは、星空でした。


散りはじめたオリーブの花が地上に描いた星空。
その美しさは、まるでもうひとつのアートのようです。


瀬戸内国際芸術祭2019の春会期の頃には、オリーブの花たちが地上に描く星空が、小豆島のあちこちで楽しめるかもしれません。


瀬戸内国際芸術祭2019
「ふれあう春」4月26日(金)〜5月26日(日)
「あつまる夏」7月19日(金)〜8月25日(日)
「ひろがる秋」9月28日(土)〜11月4日(月)

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