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2022.07.24 【作品制作レポート】 7/15(金)高松市美術館で鴻池朋子展が始まりました

2019年から大島で作品を制作しているアーティストの鴻池朋子さんの展覧会が高松市美術館で始まりました。
7月15日、メディアや美術館職員向けの内覧会では、アーティストから美術館と大島の作品について案内がありました。


「高松市美術館と大島が海と人間の想像力を介してつながるような場所になったらという思いで、今回の展示を行っています。高松市美術館の1階の展示室には、国立療養所菊池恵楓園 絵画クラブ「金陽会」の絵が美術館と外をつなげる役割を果たす、もしくはアートや美術、芸術という言語で言われているような硬い閉ざされたものから開放してくれるエネルギーを持っていると思って、キュレーターである藏座江美さんに力になってもらって、この作品をお借りして展示しています。」


2019年に大島の北の山に「リングワンデルング」をつくった鴻池さん。
約90年前に若い入所者さんたちが協力して作った周遊道「相愛の道」を復活させました。
藪の中の人ひとりぐらいしか通れない小径は、春はツツジが咲き、夏は青く輝く空と海を望むことができます。
歩を進めると次々に新しい風景や島が望めるのも魅力的です。

制作当時の様子を鴻池さんは振り返ります。


「大島へ行ったら、私は会期の1ヶ月前まで作品ができなくて、何かものを作って置くことは嫌で、着いたらとても息苦しかったんですね。綺麗に管理されて、平和な島なんですけど、息苦しくて、山へ行ったんです。そこで見つけた、昭和8年に若い入所者さんが手探りで山を切り開いた周回路があったんですね。その当時、女性たちはお弁当を作って持って行っていたそうです。そこは、お腹いっぱいになるわけでもないし、脱出できるものでもないですが、管理地区から離れて、ちょうどいい1.5キロの道なんです。けれどそこが何十年もの間、みなさんがご高齢になって行かなくなって、薮になってしまって、閉ざされてしまった。そこを見つけてチェンソーとヘッジトリマーを使って、整備していった。それしか自分の創作ができなかった。でもそれをやることで、すごく気持ちが楽になった。一周綺麗にして終わったんですが、それだとアート作品として見られないと思って、仕方なくサービスとして「皮トンビ」を複雑な思いで設置した事が思い出されます。でもサービスという人間の所作は大事で、しょうがなく作ったんですけど、それがあると無関心だった人が来るきっかけにもなるんです。作品というか、そのあたりのものってなんだろうなと思いながら、実際に作ったものが作品ではなく、迷ったり、道を歩いたり、息苦しいなと思うことが、自分の何かに関係しているなと考えるようになり、そのあと3年のコロナを経て、脱出階段をつくろうと思った。この島からみんなも脱出したかったと、それで北の浜に降りる石段を作りたいと思った。」


芸術祭の夏会期からは大島にある「リングワンデルング」に新しい道ができます。
美しい浜に降りる“エスケープルート”、「逃走階段」です。


社会交流会館内では入所者や職員さんの物語を手芸でランチョンマットに仕立てた「物語るテーブルランナーin大島青松園」、国立療養所菊池恵楓園 絵画クラブ「金陽会」の絵を展示した「物語る金の豚」などが展示され、これらは高松市美術館にも展開されています。
大島の作品は8月5日から公開します。

高松市美術館、大島、ともにぜひ足をお運びください。



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