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2022.06.09 瀬戸内断簡⑩


Directors Blog #10


男木島作品の起工式

 6月3日、男木島の〈豊玉姫神社〉参道階段前で、大岩オスカール+坂 茂《男木島パビリオン》の起工式が賑々しく行われました。平石井神社の神主 佐藤員弘さんが祝詞をあげるだけでなく笛も吹くで一人何役も楽しくやられ、爽やかに水無月の風が瀬戸内を渡り、あちら五剣山・屋島からの向こうは徳島へ、こなたの小豆島を見て丘に登れば大槌島・小槌島とおぼろげに一望できる時間でした。出席者は実行委員会の関係者のほか、男木地区連合自治会会長の畠中廣司さん、男木地区コミュニティ協議会会長の福井大和さんらで、お忙しいなか坂 茂さんも駆けつけて下さいました。




 坂さんは1994年のルワンダ内戦の難民キャンプの劣悪さに建築家としての責任から参加して以来、1995年の阪神淡路大震災の避難民の生活環境の改善を精力的にやり、地域の教会をコミュニティの場として〈紙の建築〉で設計するなど目覚ましい活動を続け、中越大地震や東北大震災や熊本の大水害など殆どの震災に助っ人として加わっている他、海外でも四川大地震やスリランカの津波から続き、現在ではウクライナ難民の環境改善に参加しています。それに深く関わるものですが、丈夫で、安価で、制作にスピードがある〈紙の建築〉家としても著名で、この男木島パビリオンは、紙も使用する、和風ともいえる珍しい作品になりそうです。


「紙の教会」兵庫県、1995年
(c) Hiroyuki Hirai


 瀬戸芸の一回目から馴染みの深いブラジルの大岩オスカールさんの提案は、男木の高所からのガラスを通して瀬戸内の実際の海と二重映しにするというものでした。坂さんはこのパビリオンに他の用途をもたせ、ガラスを引くと最大三枚重ねになることに着目し、そういう与件をオスカールに提案したという経緯があるので、実際にどうなるか楽しみです。施工は男木島でDIYで頑張っている河西範幸さんです。


大岩オスカール+坂 茂「男木島パビリオン」 イメージ図


 男木島のすぐとなりの女木島には海風とともに動く木村崇人さんの〈カモメの駐車場〉、これも風をうけてはためく帆をもつ禿鷹墳上さんの帆船ピアノ〈20世紀の回想〉もあって、海の魅力がますます伝わる作品が夏会期には揃いそうです。


木村崇人「カモメの駐車場」
Photo: NAKAMURA Osamu


禿鷹墳上「20世紀の回想」


2022年6月6日
瀬戸内国際芸術祭総合ディレクター 北川フラム

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