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2018.06.08 【てくてく島さんぽ】迷路のような集落を歩く


せとうちのしおり #1



高松港から、赤と白のツートンカラーがかわいいフェリーに乗って、40分。
途中、鬼ヶ島の別名を持つ女木島を経由して到着するのが、男木島。


斜面に家と家が段々と重なるように建つ、集落の風景が美しい島です。
集落の中は、坂道、細道、そして石段。迷路のような路地が広がっています。


フェリーを降りると迎えてくれるのが、男木交流館。瀬戸内国際芸術祭がはじまるのにあわせて、建物それ自体が作品「男木島の魂」(ジャウメ・プレンサ)として設置されました。
今では島を訪れる人や地元の人たちの憩いの場となっていて、島のお母さんたちが順番でお店番をしています。
お母さんに島のお話を聞いたり、島の地図をもらったり。


男木交流館を出たら、まずは港の前の大きな鳥居から集落へ。
石段をのぼり、坂道を歩いて、島で一番高い場所「豊玉姫神社」に向かいます。
島の人たちから“玉姫さん”と呼ばれ親しまれている豊玉姫神社。
以前は境内に、島の人たちが持ち寄った椅子があって、夕方になるとお母さんたちが集まっておしゃべりしていたことがあったとか。




豊玉姫神社の社殿には、3つの鳥居のある長い石段をあがります。
本当に長いので、途中思わずあきらめそうになりますが、そんなときは中ほどまでがんばってのぼって、振り向いてください。


そこには、青い海と島々。美しい瀬戸内海の風景が広がっています。




ここまでのぼれば、社殿はもう目の前。さあ、もうひとがんばり!


社殿が見えたら、3つ目の鳥居の前で、少し立ち止まってみてください。
鳥居の脇に2つの狛犬。右側の狛犬をよく見ると……。


よくここまでのぼったね、と言わんばかりにニッコリ笑顔に見えます。




つられて笑いながら、その横を見ると、大きな岩。
あれ? この岩も何かに似ています。まるで魚のクエみたいです。


社殿に着いたら、もう一度振り返って、海を眺めてみませんか。
高いところから島を見ると、島の人たちの暮らしや山のかたちなど、その島がどんな島なのかよくわかります。




家と家が階段状に建っている男木島を歩いていると、目の高さに家の屋根があったり、腰の高さに窓があったりします。


屋根に生えた草越しに見る瀬戸内海。
つい写真を撮りたくなります。


他にも思わずカメラを向けたくなる瞬間があります。
それは、家と家のわずかな隙間に見える海。
同じ瀬戸内海のはずなのに、どこか違って見えるから、不思議です。


そんな自分だけの海を探して、迷路のような集落の中を歩いていると、ときどき道がわからなくなって、本当に迷子になってしまいそうになるときがあります。
でも、大丈夫です。
そんなときはあわてずに、下へ下へと道を歩きましょう。
港が見えてくるはずです。




迷路のような男木島は、歩くことで自分だけの島の風景を見つけることができる島。
歩いていて、少しお腹が減ったかな、ひと休みしようかなと思ったら、島内にいくつかあるお店へ。


男木島には瀬戸内国際芸術祭の前からずっと営業しているお食事処や、島のお母さんたちの荷物運びの必需品「オンバ」を見ながらお茶できるカフェ、男木島に移住してきたご夫婦がオープンさせたカフェ、島の食材を使ったカジュアルフレンチが楽しめるビストロなど、いろいろなお店があります(不定休や週末だけオープンのお店もあるので、行く前に確認しておくと安心です)。


また、瀬戸内国際芸術祭を機に、島にUターンしてきたご夫婦が開設した「男木島図書館」もあります。
たこ漁師さんが営む民宿など、お宿もいくつかあるので、ゆっくり島をめぐりたいときは島に泊まるのもいいかもしれません。




島内には屋外に展示されている作品がいくつかあるので、ぶらぶら島を散歩しながら、島の風景とともにアートを楽しむことができます。


豊玉姫神社の近くをはじめ、島の路地のあちこちで会えるのは「男木島 路地壁画プロジェクト wallalley」(眞壁陸二)。
島で集めた廃材などに描かれた風景のシルエットが、青い海や空と一体となって、新しい島の風景をつくりだしています。



また、男木漁港近くに立っている「歩く方舟」(山口啓介)は、旧約聖書に出てくるノアの方舟のエピソードに想を得た作品。
フェリーの中からも見ることができます。


迷路のような集落を歩いて、普段着の男木島を感じてみませんか。



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