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2022.09.30 【瀬戸内ふれあい紀行】来島者の声をお届けします [小豆島編]

瀬戸内国際芸術祭の会場で一番面積が大きい小豆島は、自然のスケールも格別です。「日本三大渓谷美」に数えられている寒霞渓、「日本の夕陽百選」に選ばれた屋形崎夕陽の丘、五穀豊穣を祈願する農村歌舞伎の舞台である「日本棚田百選」に認定された中山千枚田・・・至る所に名所があります。雄大な自然とアートの共演も見どころです。高松港からフェリーで約1時間(宇野港からは豊島経由で約1時間半)、小豆島の玄関口・土庄港に到着します。


sd54《空の玉/寒霞渓》 青木野枝

映画「魔女の宅急便」、「八日目の蝉(せみ)」など数々の名場面のロケ地となった寒霞渓。土庄港から山道を車で約30分走ると、日本屈指の大渓谷と瀬戸内海を一望できる山頂駐車場にたどり着きます。近くには、ロープウェイの山頂駅もあります。この付近の登山道を歩いて10分程度。鉄の球体(直径4m)でできた見晴台「空の玉/寒霞渓」に到着です。

鉄は時が経つにつれて錆(さび)色に変わり、周りの景色に溶け込んでいくかのようです。

「まるで空に浮かんでいるみたい~!」と興奮するのは、高松から来た30代女性。結婚式向けの写真撮影で小豆島を巡っていたとのこと。新郎さんは「いろんな形の輪っかがうまくまとまっていて、技術的にもすごいことですね。」と驚いた様子。二人仲良く「最高の記念になりました。」と満面の笑みを浮かべていました。

初めて香川を訪れた鹿児島からの20代女性は「海。空。山。さらには崖!・・・まさに自然に溶け込んでいるアートを楽しめました!」と強調します。

「ここからは港まで見渡すことができ、港からここに到着するまでの楽しい道のりがよみがえってきます。」と喜んでいました。

一緒に来た友達(福岡から訪問)は「鉄は冷たいイメージですが、さわってみると意外とやわらかくて温かみを感じます。」と笑顔。そして、二人そろって「ここからのインスタ映えする写真をPRします。小豆島には絶景が多いので、また来たいです!」と楽しそうに話してくれました。

岡山からの40代夫妻は「この空間にものすごく感動しました。海外の秘境にいるみたいです。」としんみり。「これだけの作品を作るのは本当に大変だったと思います。手をかけて作っている所も見てみたいです。」と語っていました。


sd50《辿り着く向こう岸》 シャン・ヤン(中国)

小豆島には、主要な港が7つあります。寒霞渓から南に下り、車で約25分。島の南東部に位置する草壁港もその一つ。そこには木造の船のような作品が海の上に浮かんでいます。中国で廃棄された家具や建具を収集・修復し、組み合わせた全長25m、高さ10m、幅9mの巨大なものです。

4歳の子供と一緒に扉を開けるのを楽しむのは、神戸からお越しの30代ご夫妻。奥さんは「ガイドブックの写真を見て想像していたイメージより、実物の方がはるかに大きく感じました。この迫力は実際に来てみないと体感できないです。歴史の重みも感じます。」と話してくれました。
 
旦那さんは「作品とふれあうことができ、子供も退屈せずに鑑賞できるのが瀬戸芸の良さだと思います。」とにっこり。自然豊かな小豆島に2泊して、日頃の疲れを癒すのが楽しみだそうです。

高松からの40代女性は、船室をイメージした立方体の箱を熱心に鑑賞。「扉を開けると牧師がいるような雰囲気があって、なんだか教会と似た感じがしますね。」としみじみとした様子。また、「箱に屋根がないものがありますが、どうしてないのか、色々と想像するのがアートの楽しみです。」と語っていました。

岡山から来た50代男性は、「装飾がパズルのようにうまく組み合わさっていて、とても面白いです。模様も見事ですね。」と満喫していました。


sd43《はじまりの刻》 三宅之功

せっかくなので、土庄港に帰る前には、夕陽と海の絶景スポット・屋形崎夕陽の丘を目指しましょう。草壁港から車で北西に進んで約30分。県道26号(土庄福田線)沿いにある駐車場に車を停め、丘を2分ほど歩いて登れば、高さ3.9m、幅2.3mの圧巻の卵に出会うことができます。

陶の割れ目に堆積した小さな土にも、植物たちは懸命に芽を出そうとしています。割れ目でできた模様の中には、ウクライナの領土の形に似たものもあり、時代を反映しているかのようです。

「恐竜の卵のような作品と、美しい瀬戸内海。このありえない組み合わせには驚きですが、なんだか調和していて見事ですね!」と興奮するのは北海道から来た20代女性。

初めての香川訪問に「映画などのイメージから瀬戸内海は憧れでしたが、実際に眺めてみると繊細で本当に美しいです。空も綺麗で幸せです。北海道の友人にもPRします。」と充実した様子でした。

ここは島に住む方の拠り所にもなっています。子供と一緒に作品にふれあう40代男性は「見事な夕陽を一望でき、立地がとてもいいので、ここにアート作品ができる日を願っていました。その願いが叶い、元気をもらっています。」とうれしそう。

5歳の男の子は「卵の中に宇宙人がいそう~。いつか出てきてほしいなぁ!」と楽しんでいました。

夕陽の名所となれば、日没の瞬間を一目見たいものです。

その瞬間を写真に収めようーーー。いろんな角度から撮影に夢中になっていたのは広島から来た20代女性。「夕暮れには景色が変化していく楽しみがあります。日が落ちるのはあっという間でしたが、待った甲斐がありました。とても感動しました。」と目を輝かせていました。

一緒に巡っていた母親は「卵に芽吹く植物が、これからどう成長していくのか想像するのも面白いです。育っていく作品とはこのことで、これからも楽しみです。」と期待を寄せていました。
自然の恵みとアートが調和する小豆島。稲刈りを終え、紅葉が始まる秋会期には、夏とは違った楽しみがあるでしょう。
(続く)

2022.08.23 9/4 小豆島・福武ハウスと影絵のゲネプロ見学ツアー販売開始

福武ハウス


毎回満席の総合ディレクター北川フラムと行くスペシャルツアーの第4弾。夏の最終日は小豆島を訪れます。夏からの新作と芸術祭公式イベント「葺田夜祭」で上演される川村亘平斎による影絵のゲネプロ(リハーサル)の一部を見学。福武ハウスのアジア・アート・プラットフォームや食の展開、あるいは話題の新作たちについて北川ディレクターから直接お話を聞けるチャンスです。人気のツアー、是非お早めにお申し込みください!


▶総合ディレクター北川フラムとめぐる第4弾 小豆島・福武ハウスと影絵のゲネプロ見学ツアー
日程 9/4(日)|料金17,800円(税込)
行程 高松港 大巻伸嗣「Liminal Air -core-」作品下(9:40出発)=高松港~<定期船>~小豆島・土庄港(11:00着)=(バス・徒歩でガイド散策/昼食含む 約6時間)=土庄港~<定期船>~高松港(18:30着・解散)
お申し込みはこちら https://setouchi-artfest.kotobus.com/tour/ktg022.html



イ・スーキュン「そこにいた」


青木野枝「空の玉/寒霞渓」

2022.07.06 【島の歳時記】 小豆島の中山地区で、伝統行事「虫送り」が開催されました


小豆島の中央に位置する中山地区は、標高差100メートルの高低差を生かした棚田が広がる美しい場所です。
この「中山千枚田」は700年前から作られたと言われ、急な斜面に大小約800枚の田んぼが重なるよう広がっています。


「半夏生」は夏至から数えて11日目のこと。
この半夏生の時期に合わせて、中山では約300年前から「虫送り」という行事が続いています。


火手(ほて)と呼ばれる松明を手に持ち、田にかざしながら棚田の道を下っていきます。
害虫を退治して豊作を願って行われる伝統行事です。


7月2日(土)の夕暮れ、湯船山の中腹に向けて多くの人が登っていきます。
湯船の水まで登っていくと、遠く豊島を望むことができます。
3年ぶりの虫送りを楽しみにしている人々は多く、神事が始まる前から賑わっていました。


開会の挨拶では、虫送りに瀬戸内国際芸術祭のアーティストたちも参加していることが紹介され、歓迎の拍手が起こりました。


神事を終え、薄暗くなってくるといよいよ火手に火が灯されます。



「灯(と―も)せ、灯(と―も)せ」という独特の声を上げながら、急な坂道をくだっていきます。
ゆらめく炎が連なり幻想的な風景が広がっていました。


2022.07.04 【作品制作レポート】 小豆島の屋形崎に三宅之功さんの新作アートが完成しました


アーティストの三宅之功(しこう)さんの新作が小豆島の北西、夕陽で有名な屋形崎に登場しました。
ここは「日本の夕陽百選」に選ばれている場所です。


三宅さんは2019年の第28回UBEビエンナーレ大賞を受賞しています。
UBEビエンナーレは瀬戸内国際芸術祭と連携しており、これまでにも2016年の竹腰耕平さん「小豆島の木」や2019年のキム・キョンミンさん「再び ・・・」を小豆島に展示しています。


今年は三宅之功さんの「はじまりの刻」の展示が決まりました。
青空が広がる7月2日土曜日。大きなトラックに乗った卵型の作品が運ばれてきます。


作品は重さ約4トン。鉄骨とモルタルと焼き物でできています。
高さは3.7メートル、幅は2.4メートルと、とても大きな卵です。


卵の割れ目に植物が生えています。
まるで卵に命を宿しているよう、育っていくのが楽しみですね。


作品設置は2日間に渡りました。
日曜日は地元の方にも集まっていただき、仕上げの作業を行います。
卵の周りの土を踏み固める作業では、参加者が卵の周りをぐるぐる回って歩きながら土を締め固めました。


アーティストと地元のみなさんと一緒に完成時の記念写真です。
青い空に白い卵が映えますね。



夕暮れ時には、紅く変化していく海と空、そしてアート作品の絶景を観ることができます。


2022.06.24 【作品制作レポート】 小豆島に中国のシャン・ヤンさんがやってきました


アーティストの向阳(シャン・ヤン)さんが、夏からの新作制作のために小豆島にやってきました。

シャン・ヤンさんは、2019年に草壁港で作家の故郷にあった古い漁船や廃棄された中国の古い家具のパーツを組み合わせた大きな舟やタワーの作品を作りました。また隣の建物では、航海プロジェクトの企画展を行いました。

今年は、その企画展で発表した構想が作品として実現します。

世界的なパンデミックの中、来日できるかわからない状況がずっと続いていました。シャン・ヤンさんも、日本に来れる場合と来れない場合の両方の作品計画を立てたりと工夫してきたそうです。高松港に到着した日、今回来日できたことをとても嬉しく思っていると伝えてくれました。

まずは高松港の事務所で抗原検査を受けます。
海外からの作家来日ということで、テレビの取材クルーも密着します。


小豆島に渡ったシャン・ヤンさんは早速車で草壁港に向かいました。
まずは海に浮かぶ台船の確認です。この上に作品をつくります。



長さが36メートル、幅15メートルの巨大な台船(作業船)の上に、長さ25メートル、幅9メートル、高さ10メートルの作品を組み立てていきます。今回も、中国の古い家具や建具を使って作品を作っていく予定です。1階部分は2019年時に発表したタワーの作品を再展示、2階部分は糸を使った作品になるそうです。


将来的には世界一周できるぐらいの船を作りたいという壮大な構想があるそう!
とっても楽しみですね!


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