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2022.07.30 【作品制作レポート】 宇野港に金氏徹平さんの新作が登場

岡山県宇野港にある玉野競輪場は1950年に開設され、観客席から瀬戸内海を見渡せるロケーション抜群の競輪場。
その競輪場の改修工事によって出てきたスタンドの椅子や看板など、競輪施設で使われていた素材を使って、高さ約4mの彫刻作品を作りました。



7月の土日にはワークショップが開かれ、地元の方々やサポーターが集まり、椅子の連結作業を行いました。
みんなで協力してカラフルな椅子が繋がっていきます。
お子さんもたくさん参加してくれました。




設置場所は競輪場の隣の日の出公園。目の前に海が広がる気持ちの良い散策エリアです。
公園内に植わっているヤシの木の間を縫うように、作品がまるで植物のように点在しています。



競輪場で使っていた椅子、「3分前/1分前」と書いてあるランプやレジェンド競輪選手の肖像や雪の写真など、まったく異なる素材を組み合わせて、新しい世界をのぞき見てしまったような彫刻作品が登場しました。

2022.07.30 【作品制作レポート】 高見島にケンデル・ギール作品が一足先に登場

高見島は多度津町の沖にある島で、斜面に張り付くように建っている家々とその間を縫うように走る細い路地や坂道が特徴です。
美しい海や遠く四国を見晴るかす高台に登場したのが、南アフリカ出身、ベルギー在住のケンデル・ギールさんの作品です。
ケンデルさんはアフリカで最も有名なアーティストの一人。
世界各地の美術館やギャラリーで作品が展示されています。


展示場所は2013年から高見島で作品を展開している野村正人さんチームによるレストラン「海のテラス」の敷地内です。



瀬戸内海の島しょ部の家の外壁でよく見かける焼杉板(やきすぎいた)と鏡で作られていて幾何学模様のよう。
大きく開いた窓からは瀬戸内海と四国が見え、鏡に映った自分と後ろの自然、そして窓の向こうの景色が見る角度によってどんどん変わっていくとても楽しい作品です。
タイトルは「FLOW」。
さて、FLOWはどこに?
秋会期9/29から一般公開します。



2022.07.27 【作品制作レポート】 男木島で大岩オスカールさんが作品制作開始

おにぎり山のような島の斜面に張り付くように家々が並ぶ男木島。
集落の上には豊玉姫神社があり、そこからの瀬戸内の眺望は息を呑むほどの美しさです。


そんな豊玉姫神社の参道階段の横に大岩オスカール+坂 茂の《男木島パビリオン》を制作中。
坂さんが参列した6月3日の起工式から、坂さんの設計した"紙管"を使った家の建築を開始し、7月20日には大岩オスカールさんが来島。
日々作品作りを続けています。

<起工式の様子はこちら ディレクターブログ⑩>
https://setouchi-artfest.jp/all-news-directors-column/detail-blog-204.htmll


高台にある建物は、和風の建築で海側は巨大な3枚のガラスの引き戸が設置されます。


ガラスをきれいに掃除し、下絵を貼り、そしてオスカールさんがペンで線を描いていきます。
まるで港や海、瀬戸内の島々や夕焼け空をキャンバスに絵を描いているよう。
モチーフは瀬戸内のイメージで、タコや女木島・男木島・大島、フェリーや船などです。



ほぼ毎日サポーターこえび隊もお手伝いに入っています。
この日は高松市内の男子高校生3人が活躍してくれました。


島の別の場所ではガラスと対面する襖絵も制作中。
モチーフは波。
大きな紙に黒いペンだけ、下絵なしで絵を描いていきます。
オスカールさんの娘さんもアシスタントとして活躍しています。



瀬戸内を見渡せる家に、想像の世界と実際の風景が一体となる空間が出現します。
公開は8月5日、夏会期からです。

2022.07.26 作品鑑賞パスポート購入者専用無料駐車場について

芸術祭の会期中に3シーズンパスポートを購入された方が無料で駐車できる駐車場として、高松港キャッスルプロムナード駐車場及び高松市番町の旧中央病院跡地をご用意しておりましたが、後者については、春会期の利用実績等を踏まえ、夏会期以降は閉鎖することとしましたのでお知らせします。

なお、高松港キャッスルプロムナード駐車場は春会期と同様にご利用いただけます。

ご利用の際は、以下の注意事項をご確認ください。

・3シーズンパスポートをお持ちでない方は利用できません。
・満車の際は、3シーズンパスポートをお持ちの場合も利用できません。
・芸術祭会期外は利用できません。

2022.07.24 【作品制作レポート】 7/15(金)高松市美術館で鴻池朋子展が始まりました

2019年から大島で作品を制作しているアーティストの鴻池朋子さんの展覧会が高松市美術館で始まりました。
7月15日、メディアや美術館職員向けの内覧会では、アーティストから美術館と大島の作品について案内がありました。


「高松市美術館と大島が海と人間の想像力を介してつながるような場所になったらという思いで、今回の展示を行っています。高松市美術館の1階の展示室には、国立療養所菊池恵楓園 絵画クラブ「金陽会」の絵が美術館と外をつなげる役割を果たす、もしくはアートや美術、芸術という言語で言われているような硬い閉ざされたものから開放してくれるエネルギーを持っていると思って、キュレーターである藏座江美さんに力になってもらって、この作品をお借りして展示しています。」


2019年に大島の北の山に「リングワンデルング」をつくった鴻池さん。
約90年前に若い入所者さんたちが協力して作った周遊道「相愛の道」を復活させました。
藪の中の人ひとりぐらいしか通れない小径は、春はツツジが咲き、夏は青く輝く空と海を望むことができます。
歩を進めると次々に新しい風景や島が望めるのも魅力的です。

制作当時の様子を鴻池さんは振り返ります。


「大島へ行ったら、私は会期の1ヶ月前まで作品ができなくて、何かものを作って置くことは嫌で、着いたらとても息苦しかったんですね。綺麗に管理されて、平和な島なんですけど、息苦しくて、山へ行ったんです。そこで見つけた、昭和8年に若い入所者さんが手探りで山を切り開いた周回路があったんですね。その当時、女性たちはお弁当を作って持って行っていたそうです。そこは、お腹いっぱいになるわけでもないし、脱出できるものでもないですが、管理地区から離れて、ちょうどいい1.5キロの道なんです。けれどそこが何十年もの間、みなさんがご高齢になって行かなくなって、薮になってしまって、閉ざされてしまった。そこを見つけてチェンソーとヘッジトリマーを使って、整備していった。それしか自分の創作ができなかった。でもそれをやることで、すごく気持ちが楽になった。一周綺麗にして終わったんですが、それだとアート作品として見られないと思って、仕方なくサービスとして「皮トンビ」を複雑な思いで設置した事が思い出されます。でもサービスという人間の所作は大事で、しょうがなく作ったんですけど、それがあると無関心だった人が来るきっかけにもなるんです。作品というか、そのあたりのものってなんだろうなと思いながら、実際に作ったものが作品ではなく、迷ったり、道を歩いたり、息苦しいなと思うことが、自分の何かに関係しているなと考えるようになり、そのあと3年のコロナを経て、脱出階段をつくろうと思った。この島からみんなも脱出したかったと、それで北の浜に降りる石段を作りたいと思った。」


芸術祭の夏会期からは大島にある「リングワンデルング」に新しい道ができます。
美しい浜に降りる“エスケープルート”、「逃走階段」です。


社会交流会館内では入所者や職員さんの物語を手芸でランチョンマットに仕立てた「物語るテーブルランナーin大島青松園」、国立療養所菊池恵楓園 絵画クラブ「金陽会」の絵を展示した「物語る金の豚」などが展示され、これらは高松市美術館にも展開されています。
大島の作品は8月5日から公開します。

高松市美術館、大島、ともにぜひ足をお運びください。



2022.07.22 スペシャルツアー「女木島名画座上映会」販売開始

女木島にある古い倉庫を活用した映画館のような依田洋一朗の「ISLAND THEATRE MEGI『女木島名画座』」。その名画座で北川フラム(瀬戸内国際芸術祭総合ディレクター)が案内人となり映画を鑑賞する上映会を行います。今回は松居大悟監督の『アイスと雨音』を上映。上映後には案内人と監督のスペシャルトークもあります。そのほか、大竹伸朗「女根/めこん」の夜の特別開館や「umiyado鬼旬」でのディナーを加え、夜の女木島を楽しめる特別なツアーです。


▶女木島名画座上映会
日程 8/27(土)|料金12,000円|上演映画『アイスと雨音』松居大悟監督|行程 高松港(15:40集合/16:00発)~<めおん>~女木島・・女木島名画座(映画上映/北川フラム案内人と松居大悟監督のトーク)・・鬼旬(夕食 18:45頃~)・・「めこん/女根」鑑賞・・「不在の存在」鑑賞・・女木島~<チャーター船>~高松港(21:10着)
お申し込みはこちらhttps://setouchi-artfest.kotobus.com/tour/ktg013.html


Photo: Yasushi Ichikawa

2022.07.17 【作品制作レポート】 7/16(土)女木島でニコラ・ダロさんが作品制作開始

高松港からフェリーで約20分。
女木島は人口100人ほどの小さな島です。
島の東海岸には美しいビーチが広がり、夏場は海水浴で賑わいます。
ビーチ沿いには海の家などが海に向いて並んでいて、その中の一軒の平屋で、フランスのニコラ・ダロさんが作品を作ることになりました。


ダロさんは作品構想の段階で、海の見える家を希望していました。
航海や測量に使う携帯用の機器などの航海用具がモチーフとなっており、自身のおじいさんが持っていた六分儀からもインスピレーションを受けているそうです。


女木島ではちょうどピッタリの家が見つかり、アーティストがやってくる前にはサポーターたちが家の掃除をして準備万端!


そしていよいよダロさんの登場です。
初来島のダロさん、パソコンの画面上でしか見ていなかった女木島に上陸することができ、ビーチが美しいと感激していました。
会場となる平屋と対面すると、家は想像していたより大きく、事前準備の仕上がりに大満足。



部屋の中では、12の曲に合わせて「スティック・チャート」と呼ばれる枝や貝で作られた海図が動きます。
「スティック・チャート」とはマーシャル諸島で古くから使われてきた航海用具。
3000年以上昔からミクロネシア人が暮らしてきた海で使われていたもので、島の位置や潮流、うねりなどを表現したその道具は、長い間代々受け継がれてきた優れたナビゲーション・システムなのだそう。
その「スティック・チャート」と連動して、部屋の中のものが動き出すようです。


昨年の北アルプス国際芸術祭2020-2021で大町や北アルプスにちなんだ作品を発表し人気を博したダロさん。瀬戸内での新作にも期待します。


2022.07.14 「瀬戸内国際芸術祭 2022 デジタルパスポートアプリ」(瀬戸芸デジパス)のスタンプラリー機能の一部変更について

8月5日(金)に開幕する芸術祭2022の夏会期から、デジタルパスポートアプリのスタンプラリーの押印機能を次のとおり一部変更することとなりましたので、お知らせします。ご不便をおかけして申し訳ございませんが、よろしくお願いいたします。
なお、紙のパスポートの取扱いについては、変更ありません。

別添資料

2022.07.08 【作品制作レポート】 7/2(土)男木島で子どもたちとエカテリーナさんのワークショップがありました

夏から男木島の集落の中に作品を展示するロシアのアーティスト、エカテリーナ・ムロムツェワさんと、男木島の子どもたちがオンラインで繋がり、ワークショップをしました。
エカテリーナさんは今回「学校の先生」というテーマで作品を作ります。
「先生」は子どもたちの中にある大きな存在だと考え、作家は住んでいるニューヨークでも子どもたちのリサーチを進めていました。



男木コミュニティセンターの大きなスクリーンに映ったニューヨークのエカテリーナさん。
集まった男木島の子どもたちと対面です。
エカテリーナさんからは、みなさんと会えてとても嬉しいと挨拶があり、子どもたちからは自己紹介と最近の好きなものを発表しました。
それぞれ虫やおままごとが好きなことを発表すると、エカテリーナさんは笑顔いっぱいに。


ワークショップを始める前に、レクチャー動画を見ます。
これはエカテリーナさんが自身で絵を書いている様子が映され、子どもたちは絵の描き方やエカテリーナさんの制作のやり方を学びました。


さあ、いよいよ本番です。
子どもたちは、学校の先生や大切な人の顔を描いていきます。
鉛筆で下書きをして、その上に水性絵の具を塗ります。スポイトで水を垂らしたり、霧吹きを使ったりして、みんなアーティストのように工夫していました。



子どもたちが描いた絵は、エカテリーナさんの新作の一部になります。どんな作品になるのか、とても楽しみです。


2022.07.06 【島の歳時記】 小豆島の中山地区で、伝統行事「虫送り」が開催されました


小豆島の中央に位置する中山地区は、標高差100メートルの高低差を生かした棚田が広がる美しい場所です。
この「中山千枚田」は700年前から作られたと言われ、急な斜面に大小約800枚の田んぼが重なるよう広がっています。


「半夏生」は夏至から数えて11日目のこと。
この半夏生の時期に合わせて、中山では約300年前から「虫送り」という行事が続いています。


火手(ほて)と呼ばれる松明を手に持ち、田にかざしながら棚田の道を下っていきます。
害虫を退治して豊作を願って行われる伝統行事です。


7月2日(土)の夕暮れ、湯船山の中腹に向けて多くの人が登っていきます。
湯船の水まで登っていくと、遠く豊島を望むことができます。
3年ぶりの虫送りを楽しみにしている人々は多く、神事が始まる前から賑わっていました。


開会の挨拶では、虫送りに瀬戸内国際芸術祭のアーティストたちも参加していることが紹介され、歓迎の拍手が起こりました。


神事を終え、薄暗くなってくるといよいよ火手に火が灯されます。



「灯(と―も)せ、灯(と―も)せ」という独特の声を上げながら、急な坂道をくだっていきます。
ゆらめく炎が連なり幻想的な風景が広がっていました。


2022.07.04 【作品制作レポート】 小豆島の屋形崎に三宅之功さんの新作アートが完成しました


アーティストの三宅之功(しこう)さんの新作が小豆島の北西、夕陽で有名な屋形崎に登場しました。
ここは「日本の夕陽百選」に選ばれている場所です。


三宅さんは2019年の第28回UBEビエンナーレ大賞を受賞しています。
UBEビエンナーレは瀬戸内国際芸術祭と連携しており、これまでにも2016年の竹腰耕平さん「小豆島の木」や2019年のキム・キョンミンさん「再び ・・・」を小豆島に展示しています。


今年は三宅之功さんの「はじまりの刻」の展示が決まりました。
青空が広がる7月2日土曜日。大きなトラックに乗った卵型の作品が運ばれてきます。


作品は重さ約4トン。鉄骨とモルタルと焼き物でできています。
高さは3.7メートル、幅は2.4メートルと、とても大きな卵です。


卵の割れ目に植物が生えています。
まるで卵に命を宿しているよう、育っていくのが楽しみですね。


作品設置は2日間に渡りました。
日曜日は地元の方にも集まっていただき、仕上げの作業を行います。
卵の周りの土を踏み固める作業では、参加者が卵の周りをぐるぐる回って歩きながら土を締め固めました。


アーティストと地元のみなさんと一緒に完成時の記念写真です。
青い空に白い卵が映えますね。



夕暮れ時には、紅く変化していく海と空、そしてアート作品の絶景を観ることができます。


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